中規模コンサルファームから大手ファームへの転職は可能か?

コンサル業界

事業会社からコンサルファームへの転職を考えている方から、「できれば大手ファームに行きたいと考えているが、転職活動が思い通りに進んでいない。中規模ファームに一旦入ったうえで、数年後に大手ファームに移ることは可能か?」というご質問をいただきました。

会社の大きさで何かが決まることはないものの、せっかく転職するなら名の知れた大手ファームを目指したいと考えることは自然なことだと思います。自分自身が、事業会社からファームに転職を考えている際、ぼんやりと有名どころの方が安心だなと思い、大手から順々に応募していったことを覚えています。

コンサルファーム業界内では会社群ごとのゆるやなか序列があるのは確かであり、会社群内での転職は比較的容易ですが、群を飛び越えての転職はいくつか条件がつくことがあります。では、中規模ファームから大手ファームに転職するための条件は、どのようなものなのでしょうか。

クライアント・プロジェクトの性質が似ているかどうか

一般的に、大手と呼ばれるファームは大企業をクライアントとすることが多く、プロジェクトにおいて比較的「狭く深い」専門性が求められます。またプロジェクト自体が大規模になりやすく、複数のステークホルダーが絡む複雑なプロジェクト体制が敷かれることもあるため、ステークホルダーマネジメントの能力が求められやすくなります。

一方で中規模ファームでは、大手クライアントをメインとしている所もあれば、中小企業をクライアントにするファームもあります。前者の場合、大手ファームにおける仕事の仕方や求められる能力が似通ってくるため、何年か経験したのちに大手ファームに転職するのはそれほど難しくありません。しかし、中小企業をメインクライアントとしている場合、中小企業クライアントのプロジェクトでは「財務と人事」「営業戦略とプロセス効率化」といった複数領域に渡る支援が求められることが多く、大手ファームのプロジェクトと比較すると広く浅い能力が必要になります。このようなプロジェクトで培われた能力や経験は、大手ファームで求められる能力とミスマッチを起こしやすいため、転職が難しくなるケースが多いようです。

もちろん中小企業クライアントだからと言って専門性が磨けない訳ではないですし、また大手クライアントを相手にしながら「何でも屋」にならない訳ではありません。加えて、どちらに優劣があるという話でもありません。ただ大手ファームへの転職を考えるのであれば、大手ファームではどのような能力が求められるのか、それは中規模のファームでも伸ばせる見込みがあるものなのかは、冷静に見極める必要があるでしょう。

中規模ファームを経由するか、数年後に再度応募するか

中規模ファームを(言い方は悪いですが)経由して大手ファームに行くことは条件付きで可能ですが、では一度中規模ファームに入てから大手を狙うのと、今の事業会社に残ったうえで数年後に再度大手ファームにチャレンジするのと、どちらが良いのでしょうか。

これは身もふたもない言い方をすれば、ケースバイケースとなります。注意すべきは、基本的に一度選考に落ちてから再度応募できるようになるまで、数年かかるという点です(ファームにもよりますが、目安としては2~3年程度)。20代中盤の若手クラスであれば、どちらのパスでも問題ないように思います。ただ、もしコンサルファームに入った上で再度事業会社に戻ることを考えているのであれば、転職回数は少ない方が無難なため、数年後に大手ファームに再チャレンジする方が合理的ではないかと思います。

一方で、コンサルファームへの転職に明確な年齢制限はありませんが、それでも30代の転職希望者となれば、相応の専門性や業界知識が問われるようになります。そう考えると、一度中規模ファームに入ったうえで、「業界経験者として」大手ファームへの転職を考えた方がスムーズに事が運ぶ可能性が高いように思います。その場合、先に述べたように転職先のコンサルファームでどのような経験が積めるのか、その先のキャリアパスにつなげることができるのかは、冷静に見極める必要があります。

一歩先を見据えた転職活動を

以上で見てきたように、中規模ファームから大手ファームへの転職は条件付きで可能ではありますが、一度中規模ファームに入った方が良いか、はたまた数年後に直接再チャレンジする方が良いかは、個々人の事情に依る部分が非常に大きくなります。この辺りは、転職エージェントにご自身の意向をしっかりと伝えて、望むキャリアパスを得るためにどうすれば良いのか、客観的なアドバイスを受けることが重要です。

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