コンサルはなぜ徹底的にパワポを作り込むのか

コンサルの働き方

コンサルという人種と言えば、パワーポイントのスライドを無茶苦茶に作り込むことで有名です。事業会社からコンサルティングファームに転職してくると、色々なカルチャーギャップに遭遇することが少なくないと思いますが、その中でもパワポの作り込みの度合いの違いは筆頭ともいえる存在です。

では改めて、コンサルたちがパワポを鬼の形相で作り込むことにどのような意味があるのでしょうか。

共通言語が無い中で伝えなければならない

クライアントという「外部の会社の方」とコンサルタントが会話・議論する上での大前提となるのが、ほとんどはじめましての状態から経営上の突っ込んだ話をしなければならない、というものがあります。

意識されているかどうかはともかく、長い時間一緒に仕事をしている人とは、ある種の共通言語のようなものが出来上がっています。また、お互いのコミュニケーションの癖も深く共有されているため、少しくらい分かりづらい伝え方をした(された)としても、共通言語の豊富さから意図が通じたり、コミュニケーションの癖への理解によって誤解が修正されたりします。そのため、パワーポイントについても徹底的に作り込む必要性は低く、それよりも機敏に仕事をこなしていくことの方が評価されやすいという特徴があります(もちろん、役員向けプレゼンといった短い時間で意思決定を迫るといった状況は別です)。

しかし、ほぼはじめましてとなるクライアントとコンサルタントの間には、そんな便利なものは存在しません。共通言語はもちろんありませんし、コミュニケーションの癖は下手をしたら誤解を生むだけの厄介者でしかありません。となると、必然的にパワーポイントに記載するメッセージは徹底的に磨き込んで「誰からも効率的かつ間違いなく理解してもらえる文章」にする必要がありますし、オブジェクトの使い方にも細心の注意を払いたくなるのは想像に難くないでしょう。そのような仕事のスタイルで仕事をしていく中で、自然とパワポにうるさいコンサルタントが出来上がっていくのです笑

図形の不一致、位置のずれはロジック上のノイズ

また、コンサル謹製のパワポに対してしばしば聞かれる不満?疑問?は「あそこまで図形の使い方や、位置について細かく調整する必要があるのか」というものです。パワポの作り込み文化がない仕事の仕方をしてきた方からすれば「たかが図形」と思われるかも知れませんが、パワポのスライドひとつで社内会議が戦場と化すコンサルタントからすると「されど図形」と叫びたくなるのもまた事実です。

パワポ上で図形を使う際、その図形自体にも大きな意味があります。例えば自社、競合、サプライヤーを、模式図上でそれぞれ丸、三角、四角で表す。モノの流れの違いを表すために、矢印の線の種類を変える。こういった使い分けは、スライド上で一定のルールに従って活用されるからこそ意味があるのであって、ルールから外れた使い方をすれば混乱を招くだけとなります。と、文章で書くと至極当たり前のように見えますが、スライドをまたぐと全く異なる図形の使い方をしていたり、逆に「並列の意味を持たせるために同じ要素を使わないといけない」場合に違う図形を使ってしまったり、といったことは結構起こりがちです。

オブジェクトの位置についても、同様に位置そのものにも意味がつきまといます。横書きの日本語が書かれたスライドであれば、基本的に左から右に、上から下へと視線は動くため、オブジェクトを配置した時点で「左上が最初」「右下が最後」という意味合いが自然と付加されます。それらを使い分けてパワポを作る癖付けをされているために、コンサルタントたちはオブジェクトの位置に目ざとく反応するようになっているのです。

各コンサルタントのこだわりが強い場合も

また、これらに加えて各コンサルタントの仕事の仕方にも影響を受ける部分があります。性格なのかこれまでの仕事の仕方なのか、パワポへのこだわりが非常に強い人から、コンサルの中では比較的おおらかな人まで、それなりに幅が広いように思います。(ちなみに私は結構作り込んでしまう派のようです)

そのためコンサルタントのライフハックとしては、転職直後や、新しいプロジェクトでこれまで仕事したことがない人と一緒に働く場合などは、その人が以前作っていた資料などを参考としてもらっておき、作り込み具合を確認しておくと、期待値ギャップが生まれづらくなるかも知れません。

コンサルタントがパワポを作りこむ理由について、いかがでしたでしょうか。何かの参考になりましたら幸いです。


 

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