Big 4ファームが再編?コンサルと監査法人分離のメリットとは

コンサル業界

最近コンサル業界を大いにざわつかせたニュースと言えば、いわゆるBig 4と呼ばれるデロイトとEYが、コンサルと監査法人とを分離させるというものです。具体的な方法や時期についてはまだ検討を進めている段階のようですが、早ければ2023年中には実現するのではという憶測も流れており、個人的にも大いに注目しています。

ただ、これからコンサルへの転職を考えている方や就活生の方にとっては、なぜこれがビッグニュースなのかいまひとつピンと来ないかも知れません。しかし、Big 4の再編は中で働く人にとっても大きな変化が押し寄せるものであり、ぜひとも押さえておきたいポイントだと思います。そこでBig 4再編について、各社に勤める友人からの声も踏まえながらまとめていきたいと思います。

そもそもなぜ監査法人がコンサル部門を持つのか?

Big 4と呼ばれるファームは、どれも会計監査を生業とする監査法人がその起源となっています。そもそもなぜ監査法人がコンサル部門を持つ必要があったのでしょうか?

会計監査は、クライアントとなる企業が法律に則って会計処理を行っているかどうかを監査し、そのお墨付きを与える仕事をしています。そのため、基本的には1つの企業に1つの監査法人がついて会計監査を行う、いわば限られたパイの中のビジネスです。監査法人を毎年取り換えるということはほとんどありませんので、安定的である反面、大きくビジネスを伸ばしていくことは難しいという特徴を持っています。

一方でコンサルサービスは、1つの企業が複数のプロジェクトを外注することは当たり前。経営を取り巻く環境が厳しくなればなるほど企業がコンサルを活用する機会が増えていきますので、コンサル市場は将来的に大きくなっていくことが期待できます。一方で景気にも大きく左右される部分がありますので、不安定ではあるが成長の余地が大きいビジネスと言えるでしょう。

このように監査法人とコンサルは、ビジネスとして相互に補い合う特徴を持っており、監査法人がコンサルビジネスを持ちたいと思うのも自然の流れと言えるでしょう。こうしてそれぞれの大手監査法人は、様々な統合や分離を繰り返しながら、現在の監査+コンサルというBig 4の形に落ち着きました。

ちなみに、巷ではBig 4は外資ファームと勘違いされることがありますが、厳密には外資ではありません。その辺りについてはこちらのブログもご覧ください→Big 4は外資系ではない?コンサルファームの「外資」と社風について

なぜ「分離」というアイデアが出てくるのか?

ここまで読むと、理想的な組み合わせに思えるコンサルと監査を、なぜ分離させるという発想になるのか、余計に分からなくなるかも知れません。ターニングポイントとなったのは、2001年に発覚した世界最大の粉飾とも言えるエンロン事件です。

当時アーサーアンダーセンが、会計監査とコンサルサービスの両方をエンロンに対して提供していましたが、アーサーアンダーセンが粉飾事件に加担していたことが判明。これを契機として、中立の立場で会計監査にあたるべき監査法人が、コンサルサービスを同時に提供することへの批判が高まっていきました。すなわち、同じクライアントに対して、片方では「業績を良くする」ことを目的としたコンサルサービスを提供しながら、片方では「中立的に会計処理を監査する」ことが可能なのか?コンサルサービスの効果が現れているかのように、クライアントの業績を過度に良く見せるよう会計操作することになりはしないのか?という疑問です。

そして様々な規制が導入され、監査クライアント先に自由にコンサルティングサービスを提供することはできなくなりました。現在では、監査クライアント先にコンサルティングサービスが一切できない訳ではないのですが、かなり厳しい制限を課す必要があるため、コンサルタントによっては監査クライアントというだけで提案を見送るということもあるようです。

このような規制の下では、Big 4のコンサルビジネスにとって監査法人の存在は正直嬉しいものではありません。なにせ監査法人と一緒にいるだけで、監査のクライアントには手出しがしづらくなるのです。また、監査法人の独立性に対する懸念の声は以前にもまして強まっており、監査法人とコンサルビジネスは完全に分離すべきだという意見も多く聞かれるようになりました。かくして、コンサルと監査法人を分離するというオプションが現実味を帯びてきたのです。

コンサルと監査法人を分離させることのメリット

では、コンサルと監査法人の分離が現実に起こったとして、コンサルティングにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?まずひとつは、監査先のクライアントにも気兼ねなくアタックできるようになることが挙げられるでしょう。また、サードベンダーの開発するITシステムについても、現状ではその開発ベンダーが監査先だと当該ITシステムを担いだコンサルサービスに制限がかかります(例えばデロイトがA社の監査をしている場合、A社が開発しているAシステムの導入案件をB社に提案することは難しい)。分離によってこのような制限がなくなれば、提案の幅も大いに広がる可能性があります。

個人にとっても大きなメリットがあり、筆頭に挙げられるのは株取引の制限が解除される可能性があるという点です。これまでBig 4のコンサルファームに所属していた場合、監査法人との兼ね合いから原則株取引が禁止されていましたが、分離されればこの制限も撤廃されるチャンスがあります。資産形成を積極的に行っていきたい方にとっては朗報でしょう。

また、非Big 4ファームからBig 4に移った友人曰く、Big 4の内部では監査法人由来の社内手続きが非常に煩雑で手間がかかるそうです。監査法人から分離することで、このような部分も変わっていく可能性があります。

コンサルと監査法人分離のデメリット

反対に、分離によって何かデメリットはあるのでしょうか。ここは周りの友人(コンサル側に所属)に聞いてみて回っても、あまり出てきませんでした。教科書的には、監査ビジネスという安定的な収入源がなくなってしまうことが挙げられるでしょう。しかし、これを実感するのは不景気でコンサル業界に閑古鳥が鳴くような事態になった時ですし、そこまで不景気になってしまったのであれば監査があろうがなかろうが大きな影響を受けるのは間違いありません。ついでに言えば、コンサル業界冬の時代が来れば、渡り鳥よろしく別の業界に旅立っていくだけ、と考えている友人が大多数であり、監査法人分離を前向きに受け止めている派がほとんどでした。

もちろん、Big 4の再編は非常に大きな出来事であり、思いもよらぬ所で影響が出るかも知れません。業界の端くれにいる人間として、この件は注視していきたいと思っています。

 

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