コンサルが良質なインプットを得るために読書で禁忌にしている3つのこと

コンサルの働き方

コンサルのお仕事はナレッジやインサイトであり、より良いアウトプットを作り出すためには、より良いインプットが欠かせません。そのため、コンサルの人たちは本当によく本を読み漁っていると思います。私自身もそれなりに読書量はある方だと思っていますが、尊敬する上司などは、もともと仕事が忙しいにも関わらず毎月何万円単位で本を買い読んでおり、まだまだ修行が足らないと思っている所です。

そのような読書の鬼に囲まれながら自分自身も読書していく中で、良質な本に出会うための自分なりのコツが少しずつ見えてきたように思います。よく若手からは「どのように本を選べばよいか分からない」といった相談を受けることがあり、ちょっと考えをまとめてみようということで私自身が良著に出会うために「禁忌」としていることを書いてみたいと思います。

禁忌1:実業家・経営者の本は原則読まない

どんなに剛腕で知られる経営者だろうが、どんなに有名企業の創業者だろうが、実業家・経営者の本は原則読まないようにしています。この手の本は大体「●●社のすごいチーム運営」「この会社はこのようにして成功した」「個人が成功するためには●●が重要」といった内容が書かれていますが、十中八九「再現性の検証」がなされていないためです。

ほとんどのケースで、実業家や経営者は経営学者や学問研究のスキルを持った訳ではないため、成功の要素として語られているものが「理論として確立できるような再現性のある手法」なのか、はたまた「偶然その企業や人のおかれた状況で上手くいっただけの施策」なのかの厳密な検証はされていません。時には、挙げられている成功要素が本当に作用したから経営が上向いたのか、それとも景気が上向いたから成功したように見えていたのか、疑わしいことすらあります。物語としては興味深いとしても、読むだけ時間の無駄だと思っています。

公正を期すために申し上げておくと、大手コンサルファームから自分の会社を立ち上げた方の書く本でも、上記に当てはまるものが少なくないため注意が必要と思っています。このようなケースでは、本を書くことそれ自体がマーケティング施策の一環として行われていることもあり、内容は推して知るべしといったものもあります。

では具体的にどのような本なら買うのかと言えば、大学の先生や研究者が、学術的な裏付けをもとにして書かれた本です。よく研究者の本に対して「地に足のついていない、浮世離れした内容」といった形で批判する方もお見受けしますが、理論を実践に落とし込むのがコンサルの仕事のひとつだと思っています。また「その企業のことをより深く知りたい」といった特別な目的がある場合、研究者による当該企業の研究などがあればベストですが、それと合わせて当該企業の経営者の本を読むことはOKとしています。

禁忌2:明確な買わない理由が無い限りは、買うのに悩まない

本は投資であり、将来にわたって良いアウトプットを生み出すための重要なインプットです。特に良質な本は、その分野の専門家が一生をかけて突き止めた世界を変えうるような重大なインサイトが、たったの数千円で買えるという「原価率どうなってるの」という商品です。

そのため、ちょっとでも気になった本、有益そうな本、話題になっている本、人から勧められた本については、買うのをためらってはいけません。どうしても絶対に買うべきでない理由が見つからない限りは、値段を見るよりも先にアマゾンの購入ボタンを押すようにしています。本は私たちの血となり肉となるものです。迷わず買いましょう。

禁忌3:合わないと思ったら途中で止めるのをためらわない

迷わずボンボン買えとは言うものの、それなりのお値段がするのもまた事実です。ぽんぽん買っていくと結構な勢いで出費が増えていくので、それらを取り返すために全部しっかり読まなければという気持ちにどうしてもなりがちです。そのため、読み進めてみたらどうもよく理解できなかったり自身に響かなかったとしても、途中でやめるのがもったいないと思うようになるかも知れません。

これは投資でいえば損切ができずに株券が紙くずになるまで見送ってしまう、典型的なパターンです。いかに世間では良い本、学びの多い本と言われていても、今のあなたの興味関心にぴったりはまるかどうか、また読んだとして活用できるかどうかはまた別問題であり、そのような本を読み続けることはお金よりも大事な時間というリソースを食いつぶすことになります。もったいないだなんて思わずに、ダメだと思ったら読むのをやめましょう。個人的な目安としては、2割読んでもいまいちなら2ストライク、3割まで読んでダメならアウトにして読むのを止めるようにしています。

しかし面白いもので、ある時読んでも全然理解できなかったり興味が生まれずに読むのをやめてしまっても、数年後に開いてみるとこんなに面白い本が世の中にあるのか!と思えることもあります。時々の状況によって、自分が面白いと思える本、有益だと感じる情報は変化していきます。そのため、ダメだった本でも捨てずにしばらくとっておき、何かの折に読み返してみてください。新たな発見があるかも知れません。

自分なりの読書ルールで価値ある読書タイムを

私自身の経験に基づく読書に関する自分ルールをご紹介してきましたが、これをお読みの方にとって当てはまるものもあれば、別のルールの方がしっくりくるというケースもあるかも知れません。ぜひご自身に合う自分ルールを見つけ出し、キャリアアップにお役立てください。


 

ご自身のキャリアの棚卸や、キャリアアップを図る際に非常に役立つのが、ミイダスのコンピテンシー診断です。コンピテンシーとは自分がどのような「行動特性」を持つのかを表すもので、現在の仕事をよりよくこなすためのヒントや、最適な転職先を探すための手がかり、また採用面接時にどう自己アピールすべきかの重要なインプットとして活用することができます。

診断は無料。こちらのリンクから会員登録をした上で、コンピテンシー診断を受けてみてください。