コンサル未経験中途でマネージャーは本当に悪なのか?

コンサル業界

ツイッターをぱらぱらと見ていたら、コンサル未経験の中途採用について、マネージャーでの採用について疑問を投げかけるツイートを拝見しました。その方はかなりの否定派のようで、コンサル未経験のマネージャー採用は止めた方が良いという強いニュアンスが含まれた内容でした。

このような声は私の知る限り決して少数派ではなく、コンサルタントとして働いている人からは結構な割合で聞かれる意見です。実態として、コンサル未経験からのマネージャー採用自体はそんなに頻繁に起こるものではないために、そこまで悪く語られるという点に個人的にはちょっとした違和感を覚えていました。ここでは、中途マネージャーの良し悪しはさておき、なぜここまで中途マネージャーが忌み嫌われるのかについて考えてみたいと思います。

背景1:アンマッチだった時の被害が広範に及ぶ

マネージャーの仕事と言えば、プロジェクトの規模にもよるものの、基本的にはプロジェクトの大きな方向性やゴール、進め方をクライアントと握り、細かなタスクに分解して下のメンバー層にタスクを渡していく、またメンバー層の成果物をレビューし品質を担保する立場にいます。

もしこの中のメンバー層が中途採用で入ってきた方で、コンサルタントという仕事に対してアンマッチだった場合を考えてみましょう。分解されたタスクのいくつかが達成基準に到達しないだけですので、その上のマネージャーが仕事を巻き取ったり、手の空いた他のメンバーに再分配されて吸収されていきます。結果としてマネージャーや他のメンバーへの負荷は多少高まりますが、よほどのやらかしがない限りはプロジェクト全体がこけることは考えにくいです。

しかし、もしマネージャーがアンマッチな採用だった場合、クライアントと握ったプロジェクトの方向性が非現実的なものだったり、そもそもゴールをクライアントと合意することができずに右往左往し、プロジェクト全体を壊しかねないリスクがあります。もちろん、最終的な責任者としてマネージャーの上にパートナーがいますので、プロジェクトがぽしゃることは実際は少ないのですが、挽回するために深夜残業や土日稼働を強いられることもあります。そのため、ストレートな言い方をすると、マネージャーがミスマッチだと、被害の範囲が大きくなるのです。

炎上プロジェクトといったこの手のネガティブな話は一瞬にしてチーム内、部署内に知れ渡っていきますので、多くのコンサルタントの目に触れる事態となります。結果として、中途採用のマネージャーはリスクが高い、という考えが広まっていくのではと思います。

背景2:年収が高いために悪目立ちする

総合コンサルティングファームのマネージャーと言えば、お給料はだいたい1000万円からという世界です。コンサルティング業界の中でいえば1000万円という数字は決して超高給という訳ではありませんが、世の中一般で見れば立派な水準ですし、またコンサルタント・シニアコンサルタントといった下の職位のメンバーより高いのは事実です。

さて、あなたが入社2~3年目のコンサルタントで、お給料が600万円だったとしましょう。あるコンサル未経験の中途採用マネージャーの下で新たなプロジェクトにアサインされるも、1か月もせずにプロジェクトは大炎上、深夜まで稼働させられるわ土日も返上で働かされるわ、といった状況に陥った場面を想像してみてください。A級戦犯である中途採用のマネージャーは、あなたのお給料の倍はもらっている訳です。呪詛のひとつやふたつを吐いてみたくなるのではないでしょうか。また飲み会の場でコンサルタントとしてのキャリア論の話題になった際に、声高らかに「コンサル未経験の中途採用でマネージャーはやめるべき」と熱弁をふるうのも、まぁ気持ちとしては分かるのではないでしょうか。

コンサルティング業界はある程度まで実力主義が浸透していますが、これは裏を返すと「実力がない人はコンサル業界にいるべきではない」という考えにも直結しています。このような信念のもとに、未経験マネージャーへの辛辣な目というのが育まれていくのではないかと思います。

ひとつ下の職位で入るというのも案

ここまで見てきた通り、コンサル未経験にてマネージャーレベルの中途採用というのは、絶対数が多いから批判のやり玉にあがっているというより、注目を集めやすい環境が揃っているからこその批判の声ではないかと思っています。事業会社からコンサルティングファームへの転職を考えている方、特に30代くらいでマネージャーとしての採用も視野に入ってくる方にとっては、少し背筋が冷たくなるようなお話ではないででしょうか。

単純な解決策としては、転職活動の結果、見事マネージャーとしてのオファーが出たとしても、自分からひとつ下の職位で入社したいと申し出ることです。これはそんなに珍しいことではなく、私も年に数回といった頻度で見ることがあります。ひとつ下の職位で入ることで、コンサルタントとしての働き方やスキルをしっかり確認する余裕が生まれますので、長い目で見るとプラスになるという例もたくさん見てきました。下の職位で入社することのメリットについては、こちらのページでも詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください→「あえて下げて入る?コンサル転職時の職位の選び方

何かの参考になりましたら幸いです。