コンサルタントの仕事の大きな特徴のひとつは、プロジェクトベースであることです。コンサルタントとして仕事をすると、短ければ1か月以内、長くても1~2年というスパンでプロジェクトを回遊し続けるという生活が待ち構えています。クライアントが変わるのは当然のこと、社内のメンバーも固定的に同じ人と働くことはあまりなく、時には別のチームの上司・メンバーと働くことも少なくありません。
そんな中で円滑に仕事を続けるために必要なのが、「信頼貯金」という考え方だと思っています。特に同じメンバーと仕事をし続けてきた、事業会社からコンサルファームへの転職組では、ここで躓いてしまいオンボーディングに苦労するというケースも見られます。信頼貯金とはどのようなもので、どう対処すればいいのでしょうか。
信頼貯金とは
信頼口座や信頼残高と呼ばれたりもしますが、信頼貯金とはスティーブンコビー著のベストセラー「7つの習慣」で紹介されている概念です。お金の貯金と同じように、人と人との間では「信頼」の量が貯められていて、信頼を高めるような行いをすれば残高が増え、逆に信頼を裏切れば裏切るほど貯金を取り崩すことになります。
長い間一緒に働いていると、信頼貯金は日々の行いによって貯められていき、想像以上に残高が溜まっていることが往々にしてあります。そのため、多少のミスや、残高を切り崩す行為をしてしまっても、これまでの貯金分で問題なく対応できることがほとんとです。しかしプロジェクトベースの働き方で怖いところは、お互いに貯金がゼロという状態から一気にスタートすること。これまでの貯金が無い所で、しょっぱなからミスをしてしまったり、期待に沿えないような成果物を出してしまったりすると、信用残高がマイナスになってしまうこともあります。残高マイナスから、お互いに信頼してスムーズに仕事ができるような残高まで回復させるのは、簡単なことではありません。
そのため、昔から言われている「はじめが肝心」というのは、プロジェクトベースの仕事でこそ活きてくる言葉です。とは言え、すべてを完璧にこなす必要はなく、与えられたタスクの中で対処が難しい部分については早めに相談する、細かくレビューMtgを入れる、知識が豊富な人に助けを求めるなど、信頼を失わないよう基礎動作をしっかりこなしていくことが重要です。
あなたの評判は、思っている以上に広まっている
プロジェクトベースで代わる代わる色々な人と働くのであれば、あるプロジェクトでの信用口座はプロジェクト終了時点で凍結され、新しいプロジェクトでは真っ新な口座でスタートできるように見えるかも知れません。しかし、そうは問屋がおろしません。
コンサルティングファームという世界では、信頼残高は過去のプロジェクトでの実績や評価といった通貨によっても増減することがあります。メンバーをアサインする立場にいるプロジェクトマネージャーは、当然ながら優秀なメンバーをアサインしたいですし、そうでないメンバーについてはケアするための工数をある程度見積もっておかなければなりません。そのため、プロジェクトマネージャーは個々のメンバーが過去プロジェクトでどのような働きぶりだったか、得意領域と不得意領域はどんな所なのかといった情報を、色々な所で仕入れています。
もちろん、多少のミスをしてしまうことや、不得意領域があること自体は誰しも同じですし、一度低い評価がついてしまったからと言っても、即それが「コンサルタントとして終わり」ということにはなりません。しかし、例えば過去に不義理を働いたという事実がある場合は、チームを超えてその人の評判が共有されることもありますし、あまりに低い評価がついてしまうと「誰もアサインしたくならない」といった事態になりかねません。至極当たり前のように見えるのですが、特に中途入社の場合は前職の栄光にしがみついてしまい「能力の割に面倒くさくて一緒に働きづらい」という烙印が押されることも少なくありません。そのため、目の前の仕事を着実に、誠実にこなしていくということが重要です
日々の行動で、しっかり残高を貯めていくこと
信頼貯金は、色々な所で言われているように「貯めるのには長い時間がかかり、失うのは一瞬」です。ましてやプロジェクトベースの短い期間での仕事で貯金を貯めていくのは、想像以上に難しいことです。ぜひ日々の行動の中で、意識して取り組んでいただければと思います。
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