事業会社からコンサルティングファームへ転職する際は、一般的にはこれまでの経歴を参考にして入りたい部門・部署を決め打ちで選考を進めていくものと思います。しかし、第二新卒のようにポテンシャル採用の意味合いが強い場合は比較的自由に部門を選ぶことができたり、これまでの経歴が複数の部門・部署がマッチするためにどれかを選ばなければならない、といったケースが往々にして起こります。
もちろんご自身の興味・関心として、どのような専門性を今後身に着けていきたいか、といった観点で選ぶのが第一です。そこにもうひとつの判断軸として、コンサルティングファーム内で昇進・昇格がしやすいかどうか、という点も考慮されることをお勧めします。いかにUp or Outの風潮がなくなってきたとはいえ、やはりある程度のスピードで昇進・昇格の階段を上っていくことが求められますし、何よりある程度役職が上がっていった方が仕事としてもより良い経験ができると考えています。
基本的にコンサルティングファームは実力主義の色が強いと言えど、部門や部署の特徴によって昇格のしやすさが多少なりとも変わってきます。よほどご自身がやりたい!という部門であれば別ですが、同じ志望度であれば昇格のしやすい部署を選ぶ方が今後のキャリアが歩みやすくなるのは間違いないでしょう。では、昇進昇格のしやすい部署をどのようにして見極めれば良いでしょうか。
(1) 大規模案件を頻繁に扱う部署
ひとつめのポイントは、大規模案件を扱う部署です。事業会社からコンサルティングファームへ転職される際は、マネージャー未満のスタッフレベルで入社し、数年経てマネージャーを目指すといったのが一般的だと思います。その際に問われるのが、ご自身の下にスタッフを付けてきちんとマネジメントできるかどうか、という点です。マネージャーになるためにはスタッフをきちんとリードしてプロジェクトを回していくことが求められますので、そのスキルがあるかどうかというのは昇進の条件としてまず間違いなくチェックされます。
その際、小規模案件しか扱わない部署だと、そもそもプロジェクトメンバーが上司と自分のみといったことが起こりえます。なかなかスタッフを下につけて仕事する機会に恵まれないため、必然的にマネージャーとしてのスキルの検証ができずに、昇進まで時間がかかってしまう傾向があります。大規模案件であれば、自分の下に新卒や2年目くらいのスタッフをつけて適宜指導もしながらプロジェクトを回すといった機会に恵まれやすく、自然とマネジメントスキルも身に付き、また評価されやすいというメリットがあります。
また、大規模案件は自社側からのメンバーも多くアサインされるため、色々なコンサルと働く中で多様な「コンサル流の働き方」に触れられるというメリットもあります。事業会社からコンサルへ転職してきた際、コンサルとして相応しいアウトプットが作れるかどうかというのが大きなハードルのひとつとなりますが、自社側のメンバーが多いと様々な部分で学ぶ機会に恵まれるため、コンサルキャリアの立ち上がりとしては良い環境になるのではと思います。
(2) 小規模で最近設立された部署
一般的に最近設立され、これから稼ぎ頭として伸ばしていこうとしている部署では、組織が成長しているフェーズにあるため上位のポジションが生まれやすい状態にあります。そのため、コンスタントに成果を出し続ければ、組織の成長とともに自身のポジションも上がっていくという期待ができます。
一方でリスクとなりえるのが、そもそも新設された組織がビジネスとして成り立つかどうかは不透明ですから、万一あまり組織が成長しなかった場合には思惑通り物事が運ばない可能性があります。また、新設の部署や新規ビジネスの場合、コンサルファーム内でもナレッジが溜まっておらず、手探りでプロジェクトを回さないといけないことがあります。ご自身にコンサルタントとしての素質や、その部署で求められるスキルを有している場合は良いのですが、そうでない場合は慣れるまではある程度の苦労を覚悟しなければなりません。
(3) 上のポジションが詰まっていない部署
最後のポイントは、端的に上の椅子が埋まっている組織は昇進させるだけのポジションが無いため、避けた方が無難です。あくまで一般論にはなりますが、(2)で取り上げた新設された組織がある程度順調に成長し、3~5年経って組織として成熟し。成長が鈍化しだすと上が詰まった組織になりやすい傾向にあります。また、人材の流動性が低く、あまり人が辞めない部署はどうしても上が詰まりやすくなってしまいます(伝統的な日系企業っぽい表現となりますが、事実このようなコンサルファームの部門も存在します)。
自分の実力で昇進できないのであればまだしも、上が詰まっているからという理由では、長い間モチベーションを保つことは難しいでしょう。よほど希望の仕事といった事情が無い限りは、避けることをお勧めします。
各ファーム・部署の最新情報は転職エージェントにもよく確認を
これらの情報はネット上に転がっているものではありませんし、転職の口コミサイトの記述を見ても眉唾に思えるようなものがたくさんあります。また、転職面接時に面接官に聞いてもプラスになるようなことしか言われませんので、客観的な情報は得づらいでしょう。そのため、各コンサルファームとつながりの強い転職エージェントを見つけ、最新の状況についてヒアリングするのが良いでしょう。
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